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いつかきっと ~From 狂想曲~ [小説]

~沙希のひとり言~

公成はとても優しい人なのに、とてもかわいそうな人なの。忘れることのできない女性が彼の心を閉ざしてるみたい。

でも、そんな公成の一途な想いを知って、あたしは嬉しい。
もちろん妬いちゃうトキもたくさんあるんだけど、あなたの優しさと冷たさの中にある、限りない愛情がいとおしいの。

公成は、あたしがこんなコト考えてるなんて思いもしないだろうけど。あなたはうまく自分の気持ちを隠して気付かせないようにしてるから。それに、あたしたちの関係はすごく軽いものだと思っているだろうから。

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狂想曲 ~僕の物語~ -9- [小説]

~クロスロード~

長かったのか、それとも短かったのか。
今でも僕にはわからないけれど、キミとのはじまりがすべてだった。
そのことだけはわかっている。

潮風を受けながら、僕はアルカトラズを眺めていた。孤島にそびえる刑務所だった建物は、ここから眺めると、ただ優雅にたたずんでみえた。
シーライオンの鳴き声に耳を傾けながら、遠くに見えるゴールデンゲートブリッジへと視線を移す。

何もかもイヤになって、平静を保つことも、狂いだしそうなこともイヤになって、僕はひとりサンフランシスコへと旅に出た。

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狂想曲 -8- [小説]

~壊れた時計

"終わってるな、オマエ"

僕はもうダメなのだろうか。
壊れた時計が刻む時のように、何もかもが狂っていくようで、僕の中に潜む歪んだ想いが心を侵蝕してゆく。

くだらないと思うことにくだらないと言いながらも手を出して、何も感じられなくなっている。
いや、何も感じたくないと言い聞かせているんだ。

「今日は何しよっか♪」
アールグレイを口に運びながら、沙希が問いかけてくる。

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狂想曲 -7- [小説]

~深淵~

"おはよ♪元気してる?
ひさしぶりに逢いたいな"

由佳からのメールで目が覚める金曜日の朝。
彼女はその他大勢の女友だちのひとり。知り合ったその日にHして、何話したかなんて覚えてない。彼氏に構ってもらえないときに身代わりとして僕を求めてくるのが常だった。
メンドくさい、そんな気持ちだけがこみ上げてくる。お互いに都合がイイ関係、後クサレもなく、その場しのぎのカリモノの関係でしかない。

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狂想曲 -6- [小説]

~溝~

「ぅう~ん」
隣りで眠る沙希の声で目が覚める朝。頭の中に霞がかかっているようで、何だか暗い気分になる。
沙希に視線を送ると、まだ夢の中でまどろんでいるようだった。
「ふぅ~」
ため息をこぼす。沙希が悪いわけでもないのに、こんなにも虚しさがこみ上げてくるのを、僕は抑えることができないでいた。
誰でもいいから適当に女つくって遊んで、浮気相手にもなってやって、何も考えないですむように、キミを想うヒマもないようになるはずだったのに。
沙希の髪を撫でながら、僕は考え続ける。

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狂想曲 -5- [小説]

~巡る季節~

春は僕をときめき惑わせる季節。いまこの瞬間、キミとまためぐり逢えるかもしれないなんて考えてしまう。
夏は僕を桃源郷へと導く季節。キミと過ごした甘く心地よい時間が、いまもまだ続いているようで、苦しくなる。
秋は僕を暗闇へ誘う季節。しずかに過ぎゆく時が、すこしずつでも確実に、キミと僕との絆を引き裂いてゆく。
冬は僕を消し去る季節。キミを失ったことで、僕はすべてを失ってしまいそうだよ・・・

そうやって僕は僕を壊しながら、また季節は巡るんだね。

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狂想曲 -4- [小説]

~ひとり桜~

さわやかに晴れわたる春の週末。目に見えない力に引かれるように、僕は新宿を歩いていた。
瞳に映るものすべてが、キミとの想い出を呼び起こすようで、思わず微笑んでしまうような、それでいて悲しくなってしまうような複雑な気持ちを持て余していた。

気が付くと、僕の足は自然と新宿御苑に向かっていた。
桜を愛でる人々の喧騒は、1年経っても変わらずに、咲き誇る桜の木々も変わらずにそこにあった。ただ、キミだけがいなかった。それだけのことなのに、目の前に広がる世界は色褪せて見えた。
さらさらと風に吹かれ、桜舞い散る姿が、刃となって僕の心を傷つけてくる。

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狂想曲 ~僕の物語~ -3- [小説]

~狭間~

「お先に失礼しまーす」
今日のノルマのプログラムを仕上げて、家路につく。
ん゛~と伸びをして空を見上げる。東京の夕空は、感情の足りない人のように、焦点の定まらない視線を送っている。
行き交う人も同じように、目を合わすことなく、それでいて雑多な音をたてながら、無機質なコンクリートジャングルを徘徊している。

「この日常に何があるんだろう?」
そんなつまらないことを僕は考えてしまう。いや、考えるというより、自然と頭の中に湧き出てきてしまう。
悩みとは違う。ただ、ただ考える。ただ、ただ想う。

24歳の春。理性で生きていこうと思っていた。
でも、キミに揺さぶられた感性は、僕の理性をたやすく超えてしまう。
ブレーキを踏まなきゃいけないことくらいわかっている。
でも、アクセルから足が離れてくれない。
理性と感性。
そのどちらも全力で自分の役割を果たそうとしている。人の理性はどのくらい強いものなんだろう。
僕の感性は、僕の理性をいとも簡単に凌駕してしまいそうで、ときどき怖くなる。

電車に揺られながら、過ぎていく景色をぼーっと眺める。知らない人の知らない世界がそこにはある。
あの頃の僕は、自分の中に世界があると思っていた。
それなのに、キミと出会ってしまった。僕の世界の外に、キミのいる世界があった。それは当たり前のことなのに、僕にはひどく驚きで、強く強く惹きこまれていった。
あれから僕は、世界は僕の中ではなく、僕の外にあるんだって気付いたんだ。
そう、キミのいる世界が・・・キミが僕の世界になった。

「ただいま・・・」
誰もいない部屋に向かって声をかける。
「ふぅ~」
ため息混じりに明かりを点ける。収めるものを失った写真立てが、責めるように僕を見つめていた。

僕は僕を許せるのだろうか。
その答えはもう知っている。だから僕は壊れかけているんだし。
キミへの想いに、この僕の感性に身を委ねて生きていくことができるなら、それはきっと僕の幸せ。
でも、それがキミの幸せにならないことを僕は知っているから。だから、必死で僕の感性を、僕の存在を失くしてしまおうと考えているんだし。

この日常に僕はいない。それを望むのは僕自身の理性。
キミと出会えた喜びと、キミを困らせてしまう悲しみ。
この想いの狭間で、理性と感性の狭間で、ちっぽけな僕がギリギリで存在している。
キミのこと忘れないとって思うのに、僕の心はそれを拒絶する。
キミの幸せに僕は必要ない。それをわかっているのに、迷惑でしかないのに・・・
なのに心がキミを必要としてしまうんだ。
キミがいないと僕は生きていけない。僕らしく生きていくことができない。
それがわかっているから、だから、僕はどこにも行けず、ただふらふらと彷徨っているんだね。


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狂想曲 ~僕の物語~ -2- [小説]

~想い出~

今年も春が来た。
キミがいた春は、想い出の中で輝いていて、今も僕の心を放してくれない。ほんの1年前のことなのに、色褪せることなく光り輝いているんだよ。

何の変哲もない道路。
会社へと向かう足が自然と止まってしまう。ここでキミと出会ったんだね。
綺麗な女性だなって思ってた。お姉さんみたいな人だなって、ただ夢見心地で、そんなこと感じていたんだ。

ただの偶然が、たくさんの足跡を心に残していった。見上げる空に、悠然と浮かぶ雲を眺めてみる。

そんなときに僕は思うんだ。
感性が理性を凌駕しているって。見えないものを追って、心が体から離れてゆくようで、すこし怖くもあり、懐かしくもある。
「感性だけで生きていけたらいいのにな」
そう呟く僕だけど、きっとそれは難しいんだよね。僕の感じる力は、僕を不安定にするから。

"アンバランス"

それはわかっているんだよ。でも、僕の心に芽生える感情は、すべてキミに向けられているから、仕方ないんだよ。
僕が笑顔でいないと、キミは困るんだろうな。
悲しいって笑顔でごまかして、それだからこんなにも不安定なんだろうな。

キミの誕生日が4月だって知って、仲良くなれそうな気がしていた。単純なヤツってキミは思ったかもしれないけど、そんなことで僕は心浮き足立っていたんだよ。
僕は前の彼女と別れたばかりで、そんな時にキミに出会って、僕の心はキミに向いてしまったんだね。

あのGW近くの金曜日、キミとバドミントンをしにどこかの体育館を探しに一緒に電車に乗っていたね。
僕はキミがあんなに運動神経いいなんて知らなかったから、すこし驚いたよ。
ヘトヘトの僕を見て、ちょっぴり楽しそうなキミの笑顔がかわいくて、僕の心はあの時にはもう捕まってしまっていたのかもしれない。
いろんなことがあって心がささくれていたから、そんなタイミングでキミの笑顔を見てしまって、僕はキミに癒されることを望んでいたんだと思う。

だから、あれからすぐキミに会った時に、わざと終電もなくなるくらいまで飲んで、キミを困らせてしまったんだ。
抱きたかったわけじゃないんだよ。
ただ一緒にいたかった・・・

「私も付き合うよ」
そう言ってくれたキミが愛しかった。
キミは友情からそう言ってくれたのに、僕はそんなキミの気持ちを利用してしまったんだ。
僕はキミの優しさに甘えて、キミの優しさにつけこんで・・・どうしようもなくバカで最低な男だよね。

「キスしていいかな?」
キミは断らないと思っていた。すこしためらった後、でも許してくれたね。
自分から誘ったくせに、これ以上ないってくらいドキドキしていた。
キミの唇に触れて、僕はたまらないくらいの安心感を覚えたんだ。

僕らは恋人にはなれなかった、でも友だちでもなかった。
とても中途半端で、言葉にできない関係。

「一緒にいるととても気が楽なの」
こんなキミの言葉がもどかしかった。
でも、今ならわかるよ。気が楽ってことが、キミにとって最上の褒め言葉だってこと。
気付くのが遅すぎだね、僕は・・・

きっと求めすぎていたんだね。キミとひとつになりたかった。躰だけでなく、心もひとつになりたかったんだ。
それがキミの重荷になるなんてことは考えずに、ただひとりよがりの恋をしていたんだね。

恋が愛に変わるのにそれほど時間はかからなかった。僕の心は初めからキミを見ていたから。
愛してるって言葉が自然と口に出ていた。
キミはすこし迷惑そうな顔してたよね。そんなキミを見ると、僕はとても不安になったんだ。
ただ心の中でキミを愛していればよかったのに。あの頃の僕には、自分を抑えることができなかったから。それほどキミのことを想う気持ちであふれていたから。


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狂想曲 ~僕の物語~ -1- [小説]

プロローグ

キミのためにできることはあるのだろうか・・・

愛の言葉を伝えることも、今はもうできなくて。
キミを笑顔にすることさえも、できなくて。
僕にできることは、キミの幸せを願うことだけ。

「愛してるよ、美優」
行き場を失くした言葉が、消えることなくこの胸に響いている。

キミしか愛せない僕を許してくれるだろうか。
いつまでも、きっといつまでだってキミを愛してしまう。

あの時キミに出会って、恋に落ちて、僕は愛しすぎてしまったんだね。
キミを笑顔にしたかったのに、困った顔ばかりさせてしまったね。
キミが好きだから・・・キミが大好きなのに、キミの笑顔を曇らせていたのは僕なんだよね。

こんな僕は許されるだろうか・・・

いつからかキミしか見えなくて、いつまでもキミしか見えなくて、いつまでたっても僕は僕でしかないから・・・

キミを愛してしまった僕を許してくれるだろうか・・・

僕に何ができるのだろうか?
今の僕にできるのか?
キミの前から消えることしかできないのか?
この自分を消し去ることしかできないのか?

当たり前の存在でいたい、空気のような存在でありたい。
愛されたい、愛していたい。
感情だけが枯れることなくあふれている。
ただキミだけがあふれてくる・・・

届かないと知ったとき、自分じゃないと知ったとき、想いが砕けたと知ったとき、それでも浮かんでくるのはキミの笑顔なんだ。それでも願うのはキミの幸せなんだ。

大切な人に、大切な想いを、大切な言葉を添えて、伝えて生きていくことが幸せなんだね。
そんなことを気付かせてくれたのはキミなんだよ。

物語を紡いでゆけるほどの才能が僕にはないけれど、この想いだけはいつまでも、いつまでだって紡いでゆける。
どんなに壊れても、どんなに堕ちていっても、この気持ちは消えなくて、この想いは色褪せることがなくて、ただ、ただキミを想う・・・


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